B-STYLE

[身近なモノの取合せで暮らしを満喫する]  [時の経つのを楽しむ] [偶然を味方にする] それらをBスタイルと呼ぶことにしました。

2015/01/04

ザ・ホスト 美しき侵略者

ザ·ホスト美しき侵略者のポスター

■物語:
宇宙の彼方よりやってきたエイリアン、人類より理性的な知的生命体「ソウル」に征服された地球。地球は穏やかな星になっていた。
「ソウル」は人の体に入り込み肉体を支配する知性。しかし支配された主人公の女性には地球人の魂が消されずに残っていた。

彼女は2つの魂を持ちながら、抵抗する人類を探すために都市から辺境の地へ。支配を免れた人々は岩山に築かれた住居で反撃の機会をうかがっていた。

そこで彼女はかつての恋人と弟に出会う。そこには「ソウル」であるがゆえの待遇がまっていた。しかし時がたつにつれ、肉体の中にある2つのそれぞれの魂にたいして愛を感じる2人の男、信頼してくれる人間ができてゆく。彼女は二重人格者のように過ごす。
やがて彼女は、瀕死の弟を救い人間と「ソウル」との関係を変えようとする行動に出る。

■レトロフューチャー:
アンドリュー・ニコル監督得意のレトロフューチャーデザイン感覚は健在で随所に見られる。「ソウル」の美しさ、その仕事ぶりと空間、乗物などである。またその撮影も見事。

これまでなかった設定としては抵抗軍の住居がある。トルコのカッパドキアを広くしたような岩山の中。空間が清潔なところがいい。中を流れる川、土蛍。どこかで見たような二番煎じの設定であっても嫌な気にはさせない。

■不満:
もしこの映画に不満があるとしたら主人公の二重人格のようなセリフである。原作があるとはいえ、違う表現方法があるのではないだろうか。

■知的生命体と人間:
これまで映画に出てくるエイリアンは、何らかの物理的な力で地球を支配するタイプが多かった。それはもちろん映画のエンタテインメントという特質によるものだ。しかしここに登場する「ソウル」」はちがう。人間より優れた知性を持っているし、あえて武力は使わないようにみえる。

またこれまでアンドリュー・ニコル映画のテーマであり魅力となっているのは、未来社会における人間の野性味である。しかしこの映画では、野性味が個人ではなく集団になると野蛮で愚かな側面もあると言っているようにも見える。

21世紀は、AIをふくめ、優れた知性をもった相手と人類がどう付き合っていくかというSF映画が増えるのかもしれない。同じ時期に「her」を見たせいかそんなことを想った。