B-STYLE

[身近なモノの取合せで暮らしを満喫する]  [時の経つのを楽しむ] [偶然を味方にする] それらをBスタイルと呼ぶことにしました。

CINDERELLA


[CINDERELLA-オブジェのある風景]牛若丸出版より
構成・CG:望月澄人 文:北森仄 

SCENE 01 シンデレラの家族

母はとうにみまかり
その面影さえ娘は知らない。
新しく来た母と二人の姉は、娘のことなど
見向きもしない。
父親は、ただ溜め息をつくばかり。

SCENE 02 焼却炉のあるところ

黙々と、働き続けるシンデレラ。独り。






SCENE 03  屋根裏部屋

唯一の慰めは、鼠達のおしゃべりを聞くことぐらい。
王宮で、舞踏会が開かれるという。(でも、私には・・・)。
まんじりともできぬまま、夢のかけらを拾い集める。



SCENE 04 化粧室

「もっと、もっと、派手なドレスをッ!」。
誰よりも、華やかにぃ~!」。
王子様の気を惹くことが出来れば、このわたしがお妃に--!!
チャンス到来と、母も姉も大騒ぎ。
SCENE 05 見送るシンデレラ

取り残されて・・・・・。すると。



SCENE 06 出現

突然、精霊が出現する。
「こちらへおいで・・・」。
張りつめた空気に、息もできぬシンデレラ。


SCENE 07 精霊の部屋


「怯えるでない・・・・」。
その声は、どこか遠く懐かしいような響きがあった。
何だろう?
胸騒ぎがシンデレラを支配する。


SCENE 08 集められ物達


そなたの心に秘められた願いを、
かなえてあげよう。
皆のもの、出てきなさい」


SCENE 09  変身


精霊が微笑むと、カボチャは、空飛ぶ馬車に。


SCENE 10  変身

ネズミたちは、天馬に。
SCENE 11  変身

コウモリは、手綱さばきも鮮やかな
御者の姿に。
SCENE 12  変身

そして、トカゲは従者に、
次々に変身してゆく。
SCENE 13  変身

光り輝くシンデレラ。(これが私・・・・?)
SCENE 14  変身

今まで経験したことのないときめきが、胸の中から溢れ出てくる。

SCENE 15 シンデレラの出発


「気を付けて、行っておいで。
もし幸運に恵まれたなら、そなたは更に
輝ける。
でも決して、忘れてはいけない。
<時>が境を越えるその前に、身を引くという約束を」



SCENE 16 夜空を翔る


遥かなる王宮を目指して、
夜空を駆けるシンデレラ。
(王宮って、どんな世界かしら?
王子さまって、どんな方かしら?)



SCENE 17 大伽藍


暗黒の果て、眼も眩むような高みに、王宮の大伽藍が現れる。



SCENE 18 舞踏会



王侯貴賓たちは、見知らぬ姫の美しさ
あでやかさに、
寂として声もなし。


SCENE 19 シンデレラと王子


踊る、踊る、また踊る。
アレグロ・マ・ノン・トロッポ、
アダージョ・マ・ノン・トロッポ。
いつまでも、二人で。


SCENE 20 ペントハウス


「貴女のお名前をおしえてください。」
王子さまの言葉に、もう胸がいっぱいで・・。



SCENE 21 大時計


大伽藍の頂で、<時の掟>は刻み続ける。
必然という名の碑文様を。
一刻、一刻と、
約束の時が過ぎ去ってゆく・・・。





SCENE 22 階段から

落下する。真ッ逆様に、落ちて行く。
エリ・エリ・レマ・サバクタニ・・・
神よ、などて我を見捨て給ふや。


SCENE 23 元の姿


あれは、束の間の夢?


SCENE 24 ガラスの靴


まるで魂が輝くように、燦めき光る、
ガラスの靴。







SCENE 25 街


消えたお姫さまの行方を尋ねて、街から街へと使者が巡る。



SCENE 26 家を訪れる王子の使い


こんな粗末な身なりで、どうして名乗り出ることができよう?



SCENE 27 励まされるシンデレラ


シンデレラの魂に、精霊が囁きかける。
「<時の階>を辿り直す勇気があれば、
もう一度だけチャンスをあげよう。
だが、その機会を失えば、
二度と蘇ることはない。」


SCENE 28 靴を履かせて


「さあ、勇気をおだし、シンデレラ・・・」。
心にしみる精霊の声。
ずっと昔に聞いたことがあるような・・・。


SCENE 29 靴はぴったり


ガラスの靴がぴったりと合う。

SCENE 30 甦る姿


ありとあらゆるオーラを集めて、
より美しく蘇ったシンデレラ。
「まさか、灰かぶりが・・・」。
押し黙る、母と姉。


SCENE 31 結婚式


歓びに彩られて、婚礼の宴は進む。
遥かの空を、精霊の光りが
横切って行く・・・。
なべてのものに、祝福を!







1980年頃、私は世界名作童話の着ぐるみ人形劇をデザインしていた。演出は日本人形劇界の異才、清水浩二さん。その頃いろんな事情でどうしても実現出来なかった童話が2つあった。「シンデレラ」と「赤頭巾」である。だからCG作品によって夢を実現したと思っている。このキャラクターデザインは写実的では無く、抽象的でシンボリックになっています。なぜこんな形なか。
私は大学卒業後、辻村ジュサブローさんの人形アトリエでNHK「新八犬伝」の人形制作にかかわっていた。私たちスタッフは人形の構造にあたる部分を作り、辻村さんが仕上げをするという役割分担だった。この時、私に不思議な感覚が生まれる。衣装を着せる前の骨組みのような人形には、完成した装飾的で説明的な人形よりもある種の力強い魅力があると感じたのだ。それ以来、どこかでこの感覚のもつ魅力を実現してみたいと思ってきた。CGのキャラクターにはこの魅力を盛り込みました。またこれらの作品の陰影には学生時代から関わってきた舞台のライティングの経験を活かしたつもりだ。シンデレラシリーズは、「シンデレラ-オブジェのある風景」(牛若丸出版)として出版されている。

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